
精神的負担を避けたい!離職を防ぐカギ
離職防止への取り組みは、人財が要であるペットサロン運営にとって最重要です。しかし、トリマーさんやスタッフさん、トレーナーさんなどが離職を選択する理由は様々で、どのような対策が効果的なのかと経営者や採用担当者、人事担当者は悩んでおられることと思います。
この記事では、離職防止対策を「働きやすい環境」から考えてみます。離職率を下げたい経営者や採用担当者、そして人事担当者はぜひ参考にしていただけますと幸いです。この記事の最後に、一番重要だと思うことをまとめています。ぜひ最後までお読みください。
そもそも「働きやすい環境」ってなに?
働きやすい環境とは、トリマーさんやスタッフさん、トレーナーさんなどそれぞれが自分の思い通りに働ける職場ということではなく、仕事で成果や目標を達成する上でそれを妨げる要因が少ない職場環境のことを指します。
ペット美容(シャンプー、ドライイング、トリミング等)や予約の受付、店内や店外の清掃、作業からレジ処理などの業務の導線、人間関係などお仕事を行う中でのストレスの原因となるものはいくつもありますが、店内で働く方が一丸となって対策し、そして経営者が投資を行うことで働きやすい環境を作り上げることが出来ます。
まずは発言しやすい環境に
全ての方にとって「働きやすい環境」はありません。なぜならば、ワークモチベーション(※)が多様化しているためです。
※ワークモチベーションとは、個人が目標に向けて自発的に頑張ろうとする意欲を意味する言葉です。ですが諦める必要はありません。どんな制度を作り取り入れればいいのか、何が必要なのか、まずはスタッフの期待の把握をするためにも、発言しやすい環境を整えましょう。一見遠回りしているように感じるかもしれませんが、結果として「働きやすい環境づくり」を実現できます。発言しやすい環境を作るためには、まずはどんな発言でも「受け止めてもらえる」「認めてもらえる」雰囲気を作り、その状況を維持することにより、気軽に発言しても大丈夫な風土が完成します。
「ありがとう」感謝の言葉は万能の薬
「ありがとう」という言葉を発することで、感謝や称賛・激励の気持ちを伝え、スタッフの心理的安全性(※)を高めることができます。このパワーワードはスタッフに笑顔を、みんなでポジティブになれるコミュニケーションツールです。手書きのカード、LINE等手段は色々あります。もっとお互いに、日頃の感謝の気持ちや尊敬している点を伝え合ってみませんか?
※「心理的安全性」とは、トリマーさんが職場で自分の意見や感じたことを、失敗を恐れずに自由に話せる環境のことです。たとえば、新しいカットのアイデアや作業方法について提案したいとき、他のスタッフからの批判を心配せずに発言できると、よりよいサービスや技術向上につながります。もし何かミスがあったとしても、その場で責められるのではなく、「どうすれば改善できるか」をみんなで一緒に考えることができる安全な雰囲気があると、ストレスが減り、チーム全体の連携も良くなります。
また、ペットやお客様に対しても、安心感を提供するために、トリマーさん自身が心地よい環境で働くことはとても大切です。心理的安全性が整った職場は、トリマーさんが自信を持って日々の業務に取り組み、クリエイティブなアイデアを実現できる大きな力となるのです。
ドライイングを終えたスタッフがいたら「ありがとう、お疲れ様です!」
電話に出てくれたスタッフがいたら「電話対応してくれて、ありがとう。」
いつもサポートしてくれるスタッフに対して「いつも支えてくれてありがとう。本当に助かるよ。」
一番避けたい!精神的負担について考える
常に離職理由に必ず上位ランクインしている「人間関係」。最も避けたい人間関係のストレスについて考えます。せっかくのご縁を継続させるにはどういったことに気を付ければいいのでしょうか?
ハラスメントの中でも特に注意したいパワーハラスメント
ハラスメントとは「人を困らせる」「いやがらせ」という意味です。自分が他人を傷つけるつもりがなくても、ハラスメントをおこなっていること自体を理解できていないケースも少なくありません。人の感情は表立って現れないということを忘れてはいけません。
まずは、どのようなことがハラスメントなのか知ることで、未然にトラブルを防ぐことが出来ます。ハラスメントの中でも、ニュースによく取り上げられているパワーハラスメントをご紹介します。
優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
優位的な関係というとトリマーの先輩や上司を想像されるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。同僚や逆に立場が下の者から集団でのパワハラのケースもあります。よくあるケースとしては面接のシーンで「信仰」「配偶者の有無」「病歴」「性的趣向」等の職務に関係のない質問はパワハラに該当します。
例:
先輩のワタシより高級なマンションに住んでいるなんて・・・もっと安い所に引っ越ししてよね。
まじめにやってる?これ常識だから
業務の適正な範囲を超えて行われること
指導や教育のつもりでも、パワハラに該当する恐れがあります。業務に必要かつ合理的な範囲であれば問題はありませんが、注意をする態度や姿勢、表情や声のトーンは気を付けたいところです。「声を荒げる」「にらみつけるような表情」「話しながら物をたたいたり投げる」ことは避けましょう。常に相手への配慮を忘れず、質問しやすい風通しの良い職場環境を目指しましょう。
例:
カットが下手なのはあなたの暗い性格のせいよ。なんとかしてよね。
どこまで教えないといけないの?普通、聞かなくてもわかるよね。
身体的もしくは精神的な苦痛を与えること又は就業環境を害すること
就業中に自分の能力を十分に発揮できないような妨げのことを指します。殴る蹴る等の暴力、人格否定の発言、無視等が挙げられます。
例:なんでこんなカンタンなこともできないんだ!クビにするぞ!
まだ一人前でもないのに有休を取れると思わないで
あなたの代わりはいくらでもいる、もうお店に来なくていい
具体的な回避策を教えて
スタッフ全員が具体的な回避策を学ぶことにより、ハラスメントを防ぐことが出来ます。それでも、万が一起こってしまうことがあるかもしれません。その場合を想定し、ハラスメントが発生してしまった際の解決策まで全員が学びそして考えることが重要です。
加害者にならない
個人の意識改善を行いましょう。ハラスメントの正しい知識を持って、自分の言動に責任をもちましょう。
組織として取り組む
ルールを作成(パワハラ防止の方針)し、就業規則等で対処方針や内容を規定しましょう。
相談窓口を設置
パワーハラスメントを含めたさまざまな相談に対応できる窓口を整備することで、相談しやすくなり抑制効果が期待できます。
万が一、ハラスメントに遭遇してしまったら・・・
まずは、落ち着いて事実の記録をしましょう。「いつ・どこで・誰に・何を・どうされたか」を、メモや録音などで記録に残すようにしましょう。残しておいた記録は客観的な証拠として必要です。上司や先輩や同僚など、職場にハラスメントの相談窓口がある場合には、まず相談してみましょう。
さいごに
スタッフ全員が学ぶこと、そしてなんでも発言し相談することが「働きやすい環境」をつくるだけでなく、ハラスメント被害の深刻化を防ぎます。一人で抱え込まないようにすることが一番重要であると思います。全員で心地よい職場環境を整えましょう。