
はじめてでも大丈夫「やさしいシャンプー講座」ーねこ編ー
ねこちゃんは自分でグルーミングをするため「シャンプーはいらない」と思われがちですが、実際は被毛や皮膚に残る皮脂・ホコリ・花粉・抜け毛などを完全に取り除くことは難しく、年齢や体調によってはセルフグルーミングが不十分になることもあります。特に室内飼いが主流の現代では、毛球症・皮膚トラブル・アレルギー対策のためにも、やさしいおうちシャンプーが欠かせません。
ねこちゃんはわんちゃんよりも体温調節が苦手で、ストレスにとても敏感と言われています。だからこそ「やさしい」ことが大切です。
シャンプー前の準備


準備すること
まず体調に異変がないか、ねこちゃんの体や様子をチェックしましょう。静かな声でやさしく声をかけ、「これから楽しい時間だよ」と伝えましょう。
あらかじめカミソリやヒト用のシャンプーやボディーソープなどは怪我防止のために浴室から出しておきましょう。足元が滑る心配がある場合はマットを敷きましょう。
愛情・思いやり・やさしさ・根気を忘れずに。
準備するもの
・爪切り
・コーム(普段おうちで使っているものでOK)
・トリートメントインシャンプー
・スポンジ(泡立てネット)
・スリッカー(普段おうちで使っているものでOK、長毛やダブルコートの仔のもつれほぐしや抜け毛取りにオススメ)
・バスタオル2枚
・フェイスタオル3枚
・吸水タオル1枚
・ドライヤークリップ(なくてもOK)
・ハンドドライヤー
・ベビーバス(ペット用バスタブ、なくてもOK)
・洗面器
1:爪切り

まずはじめに、ねこちゃんの爪を切ります。爪を切っておかないと、シャンプー中に嫌がったり、甘えてきて飼い主さまによじ登った際に大きな怪我につながりかねません。
普段使い慣れている爪切りを使って、前脚から切っていきましょう。指先を軽く押すと爪が出てきます。ギロチンタイプ・ニッパータイプどちらでも大丈夫です。
ポイント
爪が透けてピンクに見える部分は血管です。深爪をすると出血してしまいます。必ず血管から離れた場所を切りましょう。
2:ブラッシング

濡らす前に、スリッカーでもつれをほぐします。胸や脇、股の付近などもつれやすい所は念入りにブラッシングしましょう。特に長毛のねこちゃんだと、ほぐさないままお湯で濡らしてしまうと、もつれが固くなってほぐしにくくなってしまいます。
ある程度ほぐせたら、コームで整えていきます。もつれの少ない短毛のねこちゃんは、ラバーブラシを使っても良いでしょう。ねこちゃんが慣れている好きなブラシを選んであげてください。
ポイント
ねこちゃんの負担やストレスを少しでも減らすために、飼い主さまがやさしく声をかけることがとても大切です。
3:泡づくり

ねこちゃんに直接シャンプーをかけて泡立てるとたくさんの量が必要になったり、ゴシゴシすることによって摩擦が強くなってねこちゃんに負担がかかってしまいます。事前に泡を作っておきましょう。
目安はシャンプー15ml:お湯30mlです。ねこちゃんのサイズや被毛の長さ、毛量や汚れ具合でシャンプーの必要量が変わってきます。足りなさそうなら1:2の比率を守りつつ、泡を追加で作りましょう。スポンジや泡立てネットで泡立てると、もこもこで濃密な泡が出来上がります。
4:予洗

ベビーバスや浴槽などにお湯をためて念入りに洗いましょう。多くの汚れが、この予洗だけで落とせます。お湯の量をたっぷり使い、時間をかけて丁寧に行いましょう。顔が濡れることを嫌うねこちゃんは、無理やり濡らさないようにしましょう。無理やりするとシャンプー嫌いになってしまうので要注意です。どうしてもシャワーを嫌がる仔は無理せずに、ためたお湯を手で繰り返しかけ流しましょう。
シャワーの音にびっくりしてしまうねこちゃんが多いので、シャワーヘッドはできるだけ体に密着させたり、シャワーヘッドにタオルをかぶせるなど音が小さくなる工夫をしましょう。
ポイント
お湯に浸かること自体を嫌うねこちゃんが沢山います。嫌がるようならお湯はためずに、床や浴槽の蓋の上で洗ってあげましょう。ねこちゃんがリラックスできることを第一に考えましょう。
5:シャンプー

事前に使った泡を適量取ってねこちゃんの体をマッサージするように指の腹で優しく洗いましょう。泡が被毛に行き渡るように時々毛並みに逆らって被毛の根元まで届くように洗いましょう。脇や股付近の汚れやすい部分をしっかり洗いましょう。
万が一泡がねこちゃんの目に入った場合は、すぐに洗い流してください。その際、シャワーを目に直接当てないように注意しましょう。
ポイント
顔を洗えないねこちゃんは無理せず濡れタオルなどで汚れを拭き取りましょう。
6:チェンジリンス

チェンジリンスは、ベビーバスなどにシャンプー(トリートメント成分が含まれている)のすすぎ湯を残し繰り返しかけ流すことです。チェンジリンスを行うと、飼い主さまの手では届かない細かい部分にまでトリートメント剤を行き渡らせ、効果を最大限に発揮させることが出来ます。お湯を嫌がらないねこちゃんはぜひチャレンジしてみてください。
7:すすぎ

すすぎは余分なシャンプー剤を残さないように入念にしっかり行いましょう。すすぎが不十分だと、残ったシャンプー剤によって乾きが遅くなったり、仕上がりが悪くなったり、皮膚トラブルの原因に発展してしまう場合があります。お湯をたっぷりと使い、被毛の根元までしっかりすすぎましょう。特にすすぎ残しがちな脇や股付近などを丁寧に流しましょう。どれだけすすいでも、トリートメントの効果は損なわれません。安心してしっかりとすすいでください。
ポイント
すすぎは、頭から体、足の上から順に行うと効率よくすすげます。
顔を嫌がるねこちゃんは無理をせず濡れタオルやガーゼなどで拭き取りましょう。
8:タオルドライ

ねこちゃんは顔が濡れている状態を嫌うため、お顔から拭いてあげましょう。
吸水タオルで水分を優しく押さえるように、摩擦に注意して拭きましょう。ある程度、水分を拭き取れたらタオルで拭き上げます。タオルでしっかりと水分を拭き取らないと、のちのドライイングでなかなか乾かずに、ねこちゃんが疲れてしまいます。タオルで丁寧に拭き上げましょう。
9:ドライイング

ドライヤーで皮膚と被毛の水分を飛ばします。被毛の根元が濡れているとにおい・ベタつきの原因になります。特に脇や股付近をしっかり乾かしましょう。この際、お手伝いしてくれる方がいると乾かしやすいです。お一人で乾かす場合は、ドライヤークリップ等を利用しましょう。ドライヤーの音を恐がってしまうねこちゃんには、静かな弱い風量で優しく乾かしましょう。
ポイント
ハンドドライヤーの先は高温です。やけどする恐れがあるため、ドライヤーノズルから15cm程度離してあげると安心です。
動画でシャンプー手順をチェック
年齢別の優しいポイント
子猫期
シャンプーデビューは「慣れること」からはじめましょう。生後3か月を過ぎ、ワクチンが済んだ頃が目安です。「洗う」よりも「音・水・ドライヤーに慣れる」ことを重視しましょう。シャンプーは低刺激・子猫用を選び、無理に全身を濡らさずに短時間で終わらせるようにしましょう。
成猫期
健康的な被毛と皮膚を保つために月1回程度のシャンプーがおすすめです。猫の被毛は細く密集しているため、すすぎ残しに注意しましょう。ドライヤーの音を怖がるねこちゃんには、タオルドライ+低温送風を組み合わせたり、ご褒美を上げたりなど工夫しましょう。
シニア期
関節の痛みや体力低下でグルーミングが減少し、皮脂やフケが増え、被毛の絡まり・臭いが気になるようになります。短時間・保温を重視しましょう。水を使わないフォームタイプやドライシャンプーを活用することをおすすめします。
「キレイ」は心のやすらぎにつながる
ねこちゃんにとって清潔で快適な被毛は、体調管理だけでなくストレス軽減やリラックス効果にもつながります。
ペースに合わせて、やさしいケアを続けていくことが、健やかな毎日の第一歩です。


