
7歳以上の犬猫の飼い主さまに読んでほしいーシニアのサインとケアの切り替えー
わんちゃんもねこちゃんも7歳を過ぎると、代謝のペースがゆっくりになり、皮膚のうるおいを保つ力や、被毛のツヤを維持する力が徐々に弱まってきます。こうした変化は自然なもので、病気のサインとは限りません。だからこそ、「若い頃と同じケア」から「年齢に合わせたやさしいケア」へ切り替える時期だと言えます。
ただし、「シニアケアを始めるタイミング」は、年齢だけでは判断できません。一般的にわんちゃんは7歳を迎えるとシニア期と言われますが、犬種や個体によって老化の進行具合は様々です。そこで、わんちゃんやねこちゃんの見た目・行動・体調の変化をもとに、飼い主さまが気づける「チェックポイント」をご用意しました。わんちゃんねこちゃん別に、適切なお手入れ方法をご紹介いたします。
シニア期に入り始めたサイン
年齢より以下のような「変化」に気づいたらケアをはじめましょう。
わんちゃんのチェックポイント

行動・動き
・散歩のペースがゆっくりになった
・階段をためらうようになった
・寝ている時間が長くなった
食事・体型
・食べる量が減ったもしくは増えた
・体重が減ったもしくは増えた
・食べこぼしが増えた
被毛の状態
・ツヤやハリがなくなる
・パサつきやすくなった
・毛が薄くなった
・季節による抜け毛の変化が小さくなった
皮膚の状態
・乾燥しやすくなった
・フケが出ることが増えた
・ニオイが強くなった
・触ったときに皮膚が薄くなったように感じる
感覚の変化
・呼びかけに反応しづらい
・夜の徘徊が増えた
・ブラッシングのときに嫌がる様になった
・香りへの反応が鈍くなった
歯・口まわり
・口臭が強くなる
・硬いものを噛まなくなる
ねこちゃんのチェックポイント

行動・動き
・高いところに登らなくなった
・寝ている時間が増えた
・動きがゆっくりになった
食事・体型
・食欲のムラが出る
・痩せてきたもしくは太ってきた
・飲水量が増えた
グルーミング
・毛づくろいの回数が減った
・毛づくろいの時間が短くなっている
・毛玉やフケが増えた
・ブラッシングのときに嫌がる様になった
被毛の状態
・ツヤが落ちる
・毛が細くなる
・色が淡くなる
・季節による抜け毛の変化が小さくなった
皮膚の状態
・乾燥・かゆみが出やすい
・皮膚が薄くなった感じがする
・触ったときに皮膚が薄くなったように感じる
トイレ習慣
・粗相が増えた
・排泄に時間がかかる
これらのサインを発見したら、若い頃と同じケアではなく、「やさしさ重視のお手入れ」へシフトチェンジしましょう。若い頃と同じケアを続けていると、特に皮膚の乾燥や被毛のもつれ、静電気などのトラブルが起きやすくなってしまいます。年齢に合わせたケアに切り替えることで、いつもの生活がもっと快適になります。
シニア期のケアとは
わんちゃんもねこちゃんも同様にシニア期に入ると、お散歩や段差を避けたり、冷暖房の影響を受けやすくなります。被毛・皮膚のケアと同時に、やさしい生活環境づくりもとても大切です。滑りやすい床対策や、ベッドの高さ調整など、毎日のちょっとした工夫が大きな安心につながります。
わんちゃんの被毛
被毛のハリやツヤが減り、乾燥しやすい状態です。洗いすぎず、低刺激タイプのシャンプーを使用しましょう。保湿成分(アミノ酸系・ヒアルロン酸・セラミドなど)が配合されたアイテムがおすすめです。ブラッシング前に、保湿ミストやオイルを使うと静電気対策になります。
被毛のケアの考え方
「うるおいを保ち、健康な毛並みを維持する」
「皮膚を清潔に保ち、健やかな状態をサポートする」
「年齢とともに変化する被毛のコンディションに合わせたケアを」

わんちゃんの皮膚
フケやかゆみが出やすくなり、皮脂分泌が減少して乾燥しやすい状態です。熱いお湯は避け、シャンプー後に保湿ローションやスプレーを使用しましょう。
皮膚のケアの考え方
「皮膚をやさしく洗浄し、うるおいを守る」
「荒れを防ぎ、すこやかな皮膚環境を保つ」
ねこちゃんの被毛
被毛が細くなり毛玉ができやすくなったり、グルーミング回数が減っていきます。無理のない頻度で日頃からブラッシングを行い、被毛に静電気が起きにくい保湿スプレーなどを使用しましょう。
被毛のケアの考え方
「ブラッシングで汚れを取り除き、毛並みを整える」
「自然なツヤを保つケアで健やかな毛並みをサポート」

ねこちゃんの皮膚
乾燥しフケが出やすい状態です。ねこ用の低刺激シャンプーでお手入れしましょう。日頃から、保湿ミストやスプレーを使用しましょう。食事はオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)がおすすめです。
皮膚のケアの考え方
「皮膚を清潔に保ち、乾燥を防ぐ」
「適度な保湿で皮膚の健やかさを維持する」
シニア期は「回復」より「維持」を意識して
いかがでしたか?シニア期は、決して“老い”ではなく「変化の季節」です。わが仔が心地よく過ごすためのヒントが増えていく時期です。小さな変化に気づくことが、飼い主さまにできる最高のケアのはじまりです。
ただし、配慮したケアを続けても、皮膚の赤みやかゆみが長引く場合には、すぐにペットサロンや動物病院で相談してみましょう。早めの相談が、より快適な生活につながります。
最後に、今日からでもすぐにできるおうちでできる簡単なケアをご紹介させていただきます。
・乾燥しやすい時期は、おうちシャンプーの間隔を少し長めにする
・朝の短時間ブラシで毛玉を防止
・目や口のまわりは、毎日の軽い拭き取りで清潔をキープ


