
「命を預かる」トリマー(グルーマー)の使命
トリマー(グルーマー)さんのお仕事は、飼い主さまの大切な家族であるペットの命を預かる責任のあるお仕事です。飼い主さまに寄り添い、ペットの身体的・精神的な健康を守る、それがトリマーさんの最大の使命です。だからこそ、ペットケアの知識はもちろんのこと、ペットの健康に関しても絶えず学び成長続けて欲しいと切に願っています。特に、ペットホテルや一預かりのサービスを提供している店舗に勤めている場合は、なおさら正しい知識が必要です。少しだけでも耳を傾けていただけたら幸いです。
思わぬ事故やトラブルが発生することも
トリマー(グルーマー)さんのお仕事は、飼い主さまとペットと密に接する職業だからこそ良いことばかりではなく、悲しいことや辛いことも色々あると思います。例えば、トリミング中に怪我をさせてしまったり、預かっている際に逃走させてしまい一時行方不明になってしまった、あるいは飼い主さまと言った言わないでトラブルに発展してしまった…など。現在、トリマーとしてお勤めされている方は、日々知識を習得し、技術を磨き、その上で様々な問題を経験し乗り越えてこられたのではないでしょうか。そういった辛く悲しい出来事を100%起こさないということは、人間である以上、現実的に考えて不可能です。ただし、学び成長し続ける事で、事故やトラブルを起こさない可能性を限りなく100%に近づけることはできます。
正しい意識、そして準備が飼い主さまとペットとあなたを守ってくれる
ペットケアやペットの健康知識だけでなく、法律に関しても興味を持ち、学んでいただければと思います。ヒト用のシャンプーは「化粧品」や「医薬部外品」登録という、厳しい規制の中で製造され販売されていますが、ペット用シャンプーはいまだ法律上「雑貨」です。過去に比べると、品質や製造環境が良質で保管状態にも配慮したペット用シャンプーはとても増えてきていますが、中にはそうでない物もあります。
ヒトと比較すると、犬は皮膚が薄いです。ヒトの髪とペットの被毛は細さも違います。そして犬種、猫種、個体、持病、飼育環境などペットと飼い主さまを取り巻く環境や条件の組み合わせが異なります。例えば、犬の場合だと、皮膚のターンオーバーが早い体質である犬種はフケが出やすい、短頭種は鼻が短く口腔の面積が狭いため熱中症を発症しやすいなどそれぞれに特徴があります。飼育環境がお家のだけなのか、それともお庭があるお家で暮らしており外遊びの機会が多いかなどの違いによって、最適なペットケアの方法は変わります。多種多様であるからこそ、トリマーさんは経験を積み重ね、学び成長し続けることが重要です。
トラブルに遭遇してしまったら
思いがけずトラブルを起こしてしまった、もしくはトラブルに遭遇してしまったときには、まず深呼吸をし慌てないように心がけましょう。想定外の出来事に遭遇したら、「どうしよう」と不安な気持ちになったり、「辛い」や「悲しい」、「なぜ?」そんな感情が沸き出てくると思います。そこで一息ついてまずは落ち着きましょう。動揺し、頭が真っ白になってパニックになってしまえば、想定していなかった、さらに大きなトラブルを引きおこしてしまいます。冷静に対処して問題を解決するように心がけましょう。起きてしまったこと(過去)は変えられません。ですが、気持ちを切り替え、最善を尽くすことに集中しましょう。
ただし、ペットの命を左右する場合は、一刻も早く周囲の方や獣医師に報告・連絡・相談しましょう。事前に、緊急の際に連絡するリストや手順をスタッフ間で定期的に確認したり決めておくと、より一層安心して日々の業務に取り組むことが出来ます。
起こりうるトラブル
・シザーでペットに傷をつけてしまった
・トリミングテーブルから落ち、骨折・捻挫・打撲させしてしまった
・ペットの爪を深く切りすぎて出血させてしまった
・アレルギーに気づかずケア剤で皮膚炎を起こしてしまった
・預かり中、脱走させてしまった
・他のペットから病気が感染した
・預かっている最中に逃走させてしまった
・体調が急変し、衰弱させてしまった
・預かっている最中に死亡させてしまった
対処法リスト
・まずはペットの命、健康を最優先(応急処置、動物病院へ診察)
・なぜトラブルが発生したかの経緯を店内スタッフにて再確認(写真・動画もあるとなおさら良い)
・飼い主さまへの誠意のある説明と対応
・同じトラブルを繰り返し発生させないために何が必要か店内スタッフにて対策法を取り決める
信頼されるトリマーに
トリマーさんは学ぶこと、経験を積むことが沢山あり伸びしろだらけです。トリマーさんは飼い主さまよりも早くペットの病気や怪我、体調の異変を発見することが出来ます。トリマー職は、飼い主さまとペットから心から頼られ、大変やりがいを実感できるお仕事です。飼い主さまとペットのかけがえのない人生をサポートする重要な役割のトリマー職に誇りを持ってください。
そして貪欲に学び成長をし続けてください。私たちは応援しています。